修復した加納莞蕾先生の扁額を加納美術館に納めました。
お客様の声
「見違えるほど綺麗になりこの作品を頂いた方にも喜んでいただけます。
この作品は、三隅町の石正美術館の学芸員さんが偶然、当館に立ち寄られ、絶賛されたものです。
来館いただいたお客様に楽しんでご鑑賞いただけると思います。」
島根県安来市 加納美術館様
加納美術館様から加納莞蕾先生の扁額の修復をご依頼いただきました。
作品全体に沢山のカビが発生していました。
修復前の本紙を剥ぐった状態
※写真は、フラッシュベニヤ下地に機械織の安価な布が貼ってある状態です。
額全体を調べてみると組子下地ではなく、ベニヤ下地で前面にアクリル板があるためにカビが発生したとわかりました。
本紙のカビは染み抜きで綺麗にすることが出来ますが、再びこの額を仕立て直してもまたカビが発生するため新たに杉上柾下地(国産材)で額を作り直すことにしました。
本来の杉上柾材を使った組子下地です。
扁額は高いところに飾る為、重量が軽く仕上がることも重要です。ベニヤ下地では重くなり危険です。
組子下地は和紙を使った本貼りで下張りします。
これにより、ベニヤ下地と違い通気性に優れカビの発生が抑えられ重量も軽く仕上がります。
最近は扁額を額縁店が販売していますが、そのほとんどがベニヤ下地です。
将来、ベニヤ下地の扁額の作品にカビが発生することが心配されます。
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横川伯鳳堂の 組子・和紙本貼 りとは、杉柾の組子下地に片面に和紙を5〜6枚貼り仕上げます。
作業は釘締め(竹釘)、骨張り、骨しばり、蓑掛け、蓑しばり、袋掛け、裂地・本紙の裏打ち、裁断、糊止め、切り継ぎ、増し裏打ち、上張り、裏張りと12〜13の作業工程で仕上げます。
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左の写真は、沢山のカビが発生しています。
右の写真は、カビが取れ鮎の活き活きとした動きが感じられます。
修復が完成した写真です。綺麗になり館長様や理事長様に大変喜んでいただきました。
沢山の鮎が群れているこの作品は、三隅町の石正美術館の学芸員さんが偶然、加納美術館に立ち寄られ、絶賛されたものです。
加納美術館の莞蕾館(別館)でこの作品を見ながらその学芸員さんのお話が録音で聞けるそうです。
是非、加納美術館にて本物の作品をご鑑賞下さい。