表具店・横川伯鳳堂は島根県安来市で西陣金襽を使い掛け軸(掛軸)や古書画の仕立て直し、修復、しみ抜き、表装、表具、時代表装をしています。

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横川伯鳳堂

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”お庭拝見”城安寺様前庭のつづきです。
本堂玄関の写真

荘厳な山門からつづく石畳を行くと、本堂の玄関へとやって来ます。

玄関の頭上には、見事な唐獅子と牡丹の彫刻があり、屋根を支える梁にも彫刻が施され、参拝者の目を楽しませてくれます。玄関を入ると飾り床のお軸がお客様をお迎えします。

間似合紙の貼り床の写真

山陰が全国に誇れる、優れた建築文化。間似合紙による貼り床

 玄関正面の貼り床は、私が貼り替えさせて頂いた間似合紙を使用しました貼り床です。

  ”名塩産手漉き間似合” 和紙に白土を漉き込み、他にたとえ様もようも無い、風合いと、この色合いをお分かり頂けますでしょうか?

 昔から山陰地方では、貼り床は親方、旦さん、武厳者などと言われる文化的にも高く、比較的裕福な家や、寺院などに多くみられました。しかし現在では、住環境の変化や鳥取西部地震などがあり、本体の間似合紙で無く、鳥の子紙を貼ったり、床の間にベニヤを張り、クロス仕上げにしてしまったりで、間似合紙の貼り床の現存するお宅も非常に少なくなってきました。

  山陰の間似合紙の貼り床は 、 何より御軸にやさしく、どんな色の掛軸を飾っても似合いがとても良く、京都の一流の数寄屋職人や表具師が感嘆するほどの 、 山陰が全国に誇れる、   優れた建築文化のひとつです。

 間似合い床の張り替えの様子は こちら です。

滝周辺から見た庫裡と鐘突き堂

広いお庭から見る庫裡です。大きな二階建ての庫裡ですが、周りの山々の樹木と調和しています。

鐘突き堂の右奥に経堂があります。中にには経典が納められているとお聞きしました。またその時代のお姫様がお乗りになったと、伝えられる篭もありました。

経堂の屋根の天辺には、五七の桐と葵の御紋が装飾されています。

*庭から見た庫裡と鐘つき堂
庭から見た庫裡と鐘つき堂
*滝と臼田亜浪先生の石碑
滝と臼田亜浪先生の石碑

境内に建つ、「 臼田 亜狼」 先生の歌碑

「 天風や 雲雀の声を 絶つしばし 」

臼田亜浪は大正昭和の俳壇に独自の地歩を築いた俳人である。明治12年小諸生まれ。 はじめ新聞記者であったが、大正四年「石楠」を創刊主宰し、昭和26年没するまで旺盛な作句活動をするとともに門下に多くの俊英を育てた。 既成の季題観念にとらわれず、生活に根ざした人間的感情を、自然観照と一体化させる句を作った。

この句の作者臼田亜浪氏と郷土出身の福島小蕾氏はとても深い絆の師弟でした。この句碑は、小蕾氏と「地帯舎(ちたいしゃ)」同人の人力で城安寺境内に建立されました。

また、亜浪氏の句碑の紹介にあたりネットで調べる内、福島小蕾氏の句碑も“広瀬町城安寺”にあると書かれており、住職様がお庭をさがされても見つかりませんでした。

 安来市役所教育委員会のF氏に調べて頂き、やっとのことで所在が月山富田城跡の太鼓の段であると分かりました。城安寺から歩いて15分の場所です。

城安寺前庭の小さな滝

  • 鐘突き堂の左奥にある小さな滝です。この水源は大書院の庭の奥谷より引かれたもので、この日は細く流れていましたが、雨後には、その滝音が前庭いっぱいにに聞こえます。
  • 雨の日にお庭を訪れると、滝から聞こえる水音は前庭全体に広がり、雨に濡れ青々とした苔が一層美しく、また違うお庭の趣です。
本堂正面

広いお庭から本堂を見上げると、大きな松の胴差(どうさし)には、見事な龍と雲の彫刻があります。

お友達とよい季節に、城安寺のお庭を拝見されてはいかがでしょうか。

  次回の”お庭拝見”は、城安寺庫裡、大書院からの紅葉した内庭をご紹介いたします。

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