田部美術館様の木製看板の胡粉での入墨しました。
2011年6月12日

修復前と修復後
左が修復前の写真、右が修復後の写真です。

年輪の夏目と冬目の段差
元は、長年風雨にさらされて表面が黒く灰色になった欅材で、
植物性の粉末で清掃処理された看板です。
汚れは綺麗になりましたが、加工により看板の文字の表面が荒れていました。
木目の凹凸がよくわかるかとおもいます。
欅の年輪の冬目と夏目の段差を修正する必要があります。
盛上げ胡粉

盛上げ胡粉の途中の作業写真
白い部分が段差の低いところです。
1回では埋まらず、3回盛上げ胡粉を繰り返しました。
※ 胡粉とは…
牡蠣や蛤の貝殻を砕いて作られたもので、質の良い物は、イタボガキを何年も野積みにし、 風化させて作られる。胡粉は、上級の物から、飛切、白鳳、寿、白雪、そして、盛り上げ胡粉などがあります。不純物をほとんど含まない最上級の飛切は、純白です。それ以下は、 段々と不純物を含んでいきます。
本柿渋塗り
盛上げ胡粉が終わってから本柿渋(豆渋柿100%の絞り汁)による保護塗装を施しました。

段差の修整
本柿渋による保護塗装した後に、年輪と胡粉の段差を刃物で削り、整えました。
削った後、仕上げに胡粉の”最上級品・飛切”を2回塗りして仕上げます。

完成した看板の一部の写真です。
段差が修復されなめらかに胡粉が仕上がりました。
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