古書画の仕立て直しの行程
御本紙の絵の具や墨の色止め
最初に作品の写真を撮ります。作品を解体する前に御本紙の損傷状態や絵の具の剥落を細部にわたり確認します。
次に、墨や絵具を保護する為に、御本紙の状態に適した濃度で膠やミョウバンで色止めをします。
裏打ち紙の剥がし
御本紙を保護する為に、渋紙や修復専用の養生紙を敷き、古い裏打ち紙を慎重に剥がします。
御本紙の絵の具や損傷状態が悪い場合には、裏打ち紙を剥がす前にふ糊を使い、表から養生貼り(表打ち)を二度行います。
染み抜き煤抜き
煤抜きや染み抜きでをする上で大切なことは、御本紙を傷めないことです。
そして作業する上で最も重要なことは、汚れの成分を把握すること、それにより適した方法で御本紙を傷つけることなく安全に処理することができます。
虫食い欠損部分の修理
虫喰いによる穴は拡大して見ると、まるで刃物で裁断されたような状態です。紙本の場合、ただ裏から紙を繕うだけでは、御本紙との段差が生じ綺麗な補修の仕上がりにはなりません。
そこで虫喰いの部分の御本紙の繊維を出し、補う紙の方も繊維を出します。補修する二枚の紙の段差を少なくすることで綺麗な補修の仕上がりになります
【御本紙の折れや、断裂を補強】
本紙の切れた所や折れが出ている所に「折り伏せ、折止め」補強します。詳しくは、 こちら をご覧下さい 。
【一般的な作品の補筆 「相談の上」】
一般的な作品の補筆であれば、お客様と御相談の上で、 ” 復元補筆” もいたします。
【文化財の修復】
文化財の修復などでは、墨や絵具が剥落していても御本紙の欠損部分の補修をして剥落した絵 具の補筆は行いません。 国宝修理装潢師連盟 に 所属する装潢師の方々のお仕事です。
この錦鯉の修復写真は、復元補筆の中でも”胡粉の剥落”でとても難しいものです。絹本のカビを染抜きした後、剥落した”胡粉”の色合わせして ”復元補筆” を行います 。
(左は修復前。) (右はカビの染抜き後、肌裏打ちのみの状態。)