鼠裏について
2009年2月8日
煤抜きやカビを綺麗に抜く技術を持たない表具師の方が次の手掛ける表具師に託す技術です。
”鼠裏”の貼った状態の掛軸
古い絹本の掛軸で、なぜか非常に画面が暗いものがあります。
よく見ないと分かりませんが本紙の中に汚れやカビがある場合があります。
このような場合、” 鼠裏 ”という方法がしてあります。
汚れやカビを隠す為、肌裏に使用する和紙を墨で染めて裏打ちします。
汚れやカビは目立たなくなりますが、画面が暗くなり元の絵の雰囲気を壊してしまいます。
おそらく、手掛けた表具師が煤抜きの自信が無い為の苦肉の策と思われます。
掛軸の総裏を剥いでいるところです。
剥いだ裏打ち紙にもたくさんのカビがに発生しています。
写真を見ても本紙の肌裏が” 鼠裏 ”が分かります。
裏打ち紙を剥いでいる写真
肌裏を剥いでいるところです。
肌裏の” 鼠裏 ”を剥いだだけで画面が明るくなりました。
鼠裏を剥いでいる写真
鼠裏を剥いだ後の本紙
”鼠裏”を取り除いた状態。
カビや煤もハッキリしますが、”鼠裏”を剥ぐ前の状態と違いこれだけ本紙の色が明るくなりました。
煤やカビを取り除いた写真
これが” 鼠裏 ”と煤やカビを取り除き、綺麗になった写真です。
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煤抜きの技術を持たない人が
無理して染み抜きし本紙を傷めるよりも
次に手掛ける表具師に託す意味において
” 鼠裏 ”という方法もあります。
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