広瀬町城安寺様庫裡の間似合床の貼り替え
間似合貼りの床の間
①は、剥がす前の間似合貼りの貼り床です。
湿気により、たるみがきているのが分かります。
②は、弱った上貼りを剥がした状態です。
③は、下貼りが湿気により剥がれるので古い下貼りをすべて取り除き、框に待糊をした状態
④は、特に重要な框貼りを二回貼り更に框に袋掛け。
古い下貼りと新しく貼り直した下貼りが一体となった状態
⑤は、下貼りの文字などが透けない為の1回目の袋掛けです。同時に壁面の凹凸も目立ちにくくなります。
⑥は、⑤の後、和紙の縁を 食裂 にして2回目の袋掛けが完成した状態。
食裂 とは・・・ 水を使用して和紙を引き裂き楮の繊維を出す、和紙の段差をより少なくする方法。
⑦ は、上張り途中の段済みの状態、重なりの寸法をすべて揃えて貼っていきます。
濡れたときにははっきりと重なりが見えますが、乾くとそうは目立ちませんので表具師によっては重なりの寸法などを気にせず貼ってしまう人がほとんどです。
しかし、新しいうちは問題ないのですが、10年、15年と経過するに連れて、自然に煤や埃が付き、重なりが目立ってきます。重なりが綺麗に揃っていないと見苦しくだらしが無く床の間の品格が下がります。
重なりを計算しきちんと貼れば、経年での煤で重なりが目立ってきても、整然とした重なりが景色となり永く楽しむことが出来るのです。
⑧ は、下地が土壁で廻りに框も無くそのままでは貼りあげても、すぐに剥げるので仕方なく榀ベニヤ(耐水ベニヤ)下地にしました。灰汁が出ないように樹脂処理している写真です。
完成した貼り床の写真です。
四分一を打つと壁面が締まります。
左側の壁面の下地は、樹脂処理した榀ベニヤ(耐水ベニヤ)です。
床の間の壁面の下方に横に線が入って見えますのは、城安寺様の床框の本漆の塗りがすばらしくて、塗りによる反射してできたものです。