臨済宗大徳寺派瑞泉山香林院 金嶽宗信(自蹊)和尚 筆

2010年1月18日
臨済宗大徳寺派瑞泉山香林院 金嶽宗信(自蹊)和尚 筆

 

 「随所主作 立処皆真」

臨済宗大徳寺派瑞泉山香林院
       
  金嶽宗信(自蹊)和尚 筆

<読み>

   随所 ずいしょ しゅ れば、立つ ところ みな 真なり

〜臨済宗宗祖 臨済義玄の言葉(臨済録)〜

【語 意】

 「何時でも、何処でも、如何なる状況にあっても、自分を信じ主体性をもって行動すれば、貴方の居る場所は、全て真実に包まれる。」
 つまり、「どんな場所でも、自己がはっきり確固たる信念を持っていれば、心の外でどんな変化が起こっても、それにとらわれたり、それに振り回されたりしない。」という意味。

 

〇お仕立て

濃墨一行物ですので、良く似合う”袋表具”とし、書の語意からあえて一文字を付けない形式としました。

 

〇使用した裂地

西陣織の”正絹遠州”鞘型木龍紋(細川裂)です。

遠州とは、艶のある緞子織よりも絹の光沢を抑えた織の技法です。小堀遠州公が特に好まれた織物で、そこから艶を抑えた織が遠州と呼ばれるようになったと伝えられています。

 

〇軸先

袋表具に最良の長撥軸で材質は本黒檀です。

 

〇総柄合わせ

お仕立は天地、柱の柄をすべてあわせる”総柄合わせ”です。

拡大写真の赤丸 にご注目下さい

裂地の柄合わせ

 

このように”総柄合わせ”をするためには裂地のロスが出てきます。しかし、こうして仕立てた掛け軸は、 反物の柄が等間隔にたてと横に一直線に綺麗に並びます 。 

床の間にお掛けいただいたとき、妥協を許さない仕立てのすばらしさを感じていただければ幸甚に存じます。


 

≪臨済宗大徳寺派瑞泉山香林院 金嶽宗信(自蹊)和尚 様のプロフィール≫
 
1961年東京都生まれ。12歳で京都大徳寺大仙院住職・尾関宗園師につき得度。二松学舎大学文学部卒業。
現在、東京都渋谷区広尾の臨済宗大徳寺派香林院住職。教誨師、保護司、仏教情報センター・テレフォン相談員などを務めるほか、NHK大河ドラマ「功名が辻」「風林火山」「篤姫」などの仏事監修・指導や各種講演会活動も行っている。『月刊遠州』に「茶の湯の禅語」を連載中。
 
【著書】
「禅語のちょっといい話」(芙蓉社出版)
「禅の心で生きる 〜12歳から小僧になった、ある僧の細道〜」(PHP研究所)
【監修】
「心とからだのサビをとるシンプル禅生活」(永岡書店)


 

 この作品の掲載の許可を戴きました、東京都目黒区、K様、誠に有難うございました。