本紙に残った薬品による薬品焼けの修復
2013年1月7日
以前の煤抜きの薬品が起こした、薬品焼けの修復例
これは表装の改装時に、おこなわれた煤抜きの残存薬品が起こした薬品焼けです。
おそらく、過マンガン酸カリの残存が原因と推察されます。
原因として、
1 煤抜き、染み抜き作業を安易に考えている。
2 薬品の量や濃度を勘に頼って作業する。
3 薬品の濃度が濃い。
4 各工程の水洗いが不十分。
5 中和作業をしていない。
お客様も表具師も染抜き作業を安易に考える方が多く、こうした薬品焼けは多々発生しています。
残存した薬品は本紙のみならず、裏打ち紙まで薬品焼けを発生しています。
残留した薬品により発生した薬品焼け
使用する薬品の濃度を極限まで薄く、正確に計量するのは当然ですが、その薬品を出来る限り残存させない丹念な水洗いそして、中和作業してからの水洗いも重要です。
染抜き・煤抜きはその汚れを取り除くことが目的ですが、薬品により本紙を傷つけることがあってはなりません。
弊店での絹本などの染抜きは、極うすい薬品で安全に作業を進めるため、3か月くらいかかることがあります。
この修復作品の掲載の許可を戴きました、益田市のM様、誠に有難うございました。