表具店・横川伯鳳堂は島根県安来市で西陣金襽を使い掛け軸(掛軸)や古書画の仕立て直し、修復、しみ抜き、表装、表具、時代表装をしています。

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横川伯鳳堂

トントン打ち刷毛とまっしろしろすけ

2010年8月23日
 みなさんは、となりのトトロに出てくる”まっくろくろすけ”をご存じだと思います。

 うちの職場には、月に何度か”まっしろしろすけ”が現れます。
*とんとん打ち刷毛とまっしろしろすけ
とんとん打ち刷毛とまっしろしろすけ

 伝統的な表具の裏打作業には、肌裏、中裏、増裏、上裏(総裏)があります。
 弊店ではこれらをすべて手作業で行っています。 

 本紙に最初に裏打ちする肌裏は新しく炊いた正麩糊で撫で付けします。これ以外の裏打ちは上記の肌裏と異なり撫でただけでは接着しない薄い古糊で裏打ちします。

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http://www.youtube.com/watch?v=0ueklJZEmAM

*打ち刷毛
打ち刷毛

 そこで打ち刷毛という、特殊な刷毛で打ちつけ繊維を絡ませて接着します。

 この作業を丹念にすると和紙が打ち刷毛により、毛羽立ち、空気中に漂います。

 打ち刷毛の作業が終わる頃には、綿ぼこりとなり作業台に落ちてきます。

 表面の毛羽立ちを押える為に、水で湿らせた撫で刷毛で毛羽立ちを押えます。

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http://www.youtube.com/watch?v=nuoxDfwF-Go
*撫で刷毛と毛羽立ち
撫で刷毛と毛羽立ち

 台の上に落ちた和紙の繊維が撫でる作業によって起きる風に揺られ、白い毛玉の様に台の上を転がり、そして床に落ち”まっしろしろすけ”が沢山現れます。

*台上の綿ぼこり
台上の綿ぼこり

 打ち刷毛を使うので和紙の繊維の毛玉やほこりが常に発生します。日に何度も掃除をしても数日の内に白いほこりが降り注ぎ、仕事場のノートパソコンは約2年で使えなくなります。

 

 私の営業している場所は田舎ですが町屋で家が繋がっていますので、早朝や夜遅くまでの音の出る打ち刷毛の仕事はできません。

 巷で流行の熱圧着機械表装は糊や和紙を使いません。ですから、打ち刷毛の音や和紙のほこりが出ません。

 この頃、トントンと刷毛の音がしない表具屋さんが多くなったと伝え聞きます。

*床のまっしろしろすけ
床のまっしろしろすけ
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