表具店・横川伯鳳堂は島根県安来市で西陣金襽を使い掛け軸(掛軸)や古書画の仕立て直し、修復、しみ抜き、表装、表具、時代表装をしています。

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横川伯鳳堂

大野逸男先生 富士

2012年2月2日
<お客様から戴いたメールより>


こんにちは。掛け軸を昨日受領し、昨夜から部屋に掛けています。

先ずは近くで眺めて、あれほど見苦しくよれていた絵が真っ直ぐになり、特に富士の冠雪部分で目立っていた
シミが凝視しないと判らないくらいに取り除かれていることに感激しました。

次に遠くから眺めて、天地の色合いと模様としての糸節模様、一文字、中廻しのバランスが軸の長さを損なわず、
期待以上の仕上がりとなっていました。長い仕上がりを希望した母もきっと満足してくれると思います。

補修前の画像と比較確認してみると、補修前の写真ではフラッシュのせいもあるかもしれませんが、水墨画のような富士の絵に対して裂地が派手すぎに思いました。
そのために一見高価そうに見えるのですが、肝心の絵が引き立たないということが見比べて判りました。
色の大人しい裂地で再装丁して頂いたお陰で、富士の絵が引き立つようになりました。有り難うございます。

また、総柄合わせをして頂き大変有り難うございました。実際の仕上がりを見て、総柄合わせの意義がよく分かりました。
絵を見る際、最初はどうしても絵に視線が集中しますが、やがては全体のバランスや柄に目がいきます。
柄合わせを簡易で行って頂いたら、ちょっとした柄のズレでも時間が経つにつれて気になったかもしれません。

さらに、メールのやりとりの中、軸に添付の解説文では素人でもわかりやすい説明をして頂き、軸装の奥深さについて勉強になりました。
美術館等で掛け軸を観る際、今までとは違った視点で鑑賞できるのではないかと思います。


ホームページへの掲載について、私の率直な感想ですので画像の掲載と合わせていっこうに構いません。
私も実際、依頼先を選ぶ際に「お客様の声」のコーナー、特に画像を参考にしました。
お店にも次のお客様にも、お役に立てれば幸いです。

次の機会がありましたら、また是非お願いしたいと思います。
この度は掛け軸の修復と再表装に尽力して頂き有り難うございました。


岩手県盛岡市 K・H様

*全体の写真(修復後)
全体の写真(修復後)

カビの染み抜き修復後の完成した写真です。

お詫び (この画像は撮影用ライトが破損し、ライト在庫が無く本来の色彩が表現できませんでした。)

ご要望

修復前のお軸は、本紙の幅が51.5㎝×高さ27㎝の横長に対して寸法は、ほぼ調和の取れたものでした。お客様からのご要望で、軸の仕上がりを修復前より10㎝長くしたいとのことでした。

裂地の取り合わせ

本紙に染みなどがある場合、裂取り合わせは修復を終え、肌裏を打ち乾燥後に裂地選定します。

弊店が大切に考えています「作品を引き立てる取り合わせと」、「長めの仕上がり」を考慮し裂地の取り合わせを考えました。

この作品の場合は最初に、富士の広がりをイメージして、中廻しの金襴(やや薄桃色がかった白茶)を選びました。一文字金襴は、西陣の機屋さんから特注で送ってもらった青箔の”市松算崩し紋”を使いました。青箔の一文字金襴を選定したことで、作者の表現する世界を引き立てる取り合わせになったと思います。

天地の裂地には、新画の場合、通常は正絹フシナナコを使います。今回は通常より天地寸法も長くしますので、正絹フシナナコでは間延びした感じになります。そこで、景色としての糸節がある細絓(ほそしけ)を使い長めの寸法でも調和の取れたお軸になったと自負しています。

表装の好みは人それぞれ異なりますが、弊店が考える作品を引き立てる裂地の取り合わせはいかがでしょうか。

修復前の本紙が硬く歪んでいるお軸

*全体の写真(修復前)
全体の写真(修復前)

修復前は、前に手がけた表具師の技術が未熟なのか、本紙が硬く逆に裂地は柔らか過ぎてお軸を掛けるとかなり見苦しく歪んでいました。                 (蛍光灯とフラッシュ有)

紙本、絹本の肌裏打ちと仕上がりの柔らかさ

紙本の裏打ちは、正麩糊を薄く溶いて何度も刷毛を通し薄いのりを均一に撫でつけます。一方、絹本の裏打ちは、紙本と違い濃い正麩糊で裏打ちします。

絹本の肌裏は、柔らかい糊で和紙に糊付けすると、和紙に糊が浸透してしまい和紙自体が硬くなり裏打ちした絹本も硬くなります。

絹本の肌裏を柔らかく仕上げるには、糊が和紙に浸透する前に、素早く硬糊を撫で付ける必要があります。即ち、硬糊を皮膜状に、均一に糊付けするのです。しかし、確かな技術がないと薄い和紙が破けたり、濃い糊が厚く和紙に付き過ぎ、絹本は硬くなります。

このお軸の歪みは、硬い絹本の裏打ちと、表具師が増し裏等で、裂地と本紙との硬さバランスを調整せずに作業を進めてしまい、仕上げたのが原因と思います。

修復前のシミの発生した部分写真

*拡大写真(カビ抜き前)
拡大写真(カビ抜き前)

本全面にカビによる染みが発生していました。           (蛍光灯とフラッシュ有)

多くのシミの為に作者の表現する、本金泥による”雲の動き”が見えづらくなっていました。

染抜き修復後の部分写真

*拡大写真(カビ抜き後)
拡大写真(カビ抜き後)

カビ染抜き後の作品です。

お詫び (この画像は撮影用ライトが破損し、ライト在庫が無く本来の色彩が表現できませんでした。)

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